技書博公式ブログ

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見本誌をチェックする際のポイント

見本誌チェックとは?

こんにちは。id:ariaki です。 技書博では、出展者より新刊を「見本誌」として提出していただき、販売される作品の内容に不適切な物がないかなどを確認します。 毎回多くの本をチェックしていますが、ケアレスミスでの訂正をお願いすることが多いため、今回は見本誌チェックについてのポイントをまとめました。

どんなものが対象?

「技書博でこれまで一度も頒布したことがない技術同人誌」が対象です。

  • 他イベントで頒布したことがある同人誌も対象です(技書博の判断基準があるため)
  • 既に許可済の本であっても、大幅な改訂を行った場合は、再申請してください(軽微なものは不要。迷う場合は、再申請してください)
  • 合同誌の場合は、代表の1サークルが申請してください。頒布は、合同誌に参加したすべてのサークルでおこなえますが、複数のサークルにおいて、メインの頒布物がその本のみである状態は、許可できない可能性が高いので、運営事務局までご相談ください
  • 商業誌は見本誌チェック対象外です(商業流通可能な本は一律OK。ただし18禁は販売不可)
  • チラシ類は対象外です(公序良俗に反するものは当日確認する場合があります)
  • フリーペーパーは、対象外ですが、当日1部本部まで提出してください(記録のため。18禁頒布不可)

見本誌はどう扱われる?

提出いただいた本は返却せず、原則として技書博運営スタッフが預かり保管します。

  • 物理書籍:スタッフが管理する部屋または倉庫にて保管します
  • 電子書籍:電子データをクラウドストレージ(Google Drive)にて保管します

問い合わせやトラブルなどが発生した場合の確認に使用するほか、サークルを配置する際に過去の頒布物を参照したり、イベントでの頒布傾向などを調査するために確認したり、運営の改善を目的に利用する場合があります。

技書博での判断基準について

技書博運営事務局は法的な判断をする機関ではありませんし、法律の専門家が査読していません。 あくまですべての参加者が安心・安全に過ごしていただくため、自主基準を設けて催行されるイベントであることをご理解ください。 そのうえで、基準に満たないもの(たとえば公序良俗に反する内容)については事務局の判断にて頒布を禁止することがあるほか、サークル自身に頒布可否の判断を促す可能性があります。

また、毎回スタッフがすべてのページを熟読しているわけではありません。 スタッフが見逃したところに危険な情報が潜んでいる可能性があることをご了承ください。 頒布いただくものは原則としてイベント主催者ではなく、著者の皆さんに責任があります。 その上でもっとも重要なのは、技書博の倫理観に皆さんがご賛同いただき「基準に合致した本を自主的に頒布いただくこと」です。 ご理解とご協力をお願いします。

スタッフがちょっと喜ぶポイント

見本誌データは圧縮せず1つのPDFとして(表紙などがわかれる場合はできるだけ結合して)登録いただくとスタッフがちょっと喜びます。 提出されたデータはGoogle Driveへのリンクとして参照しますので、圧縮されているとダウンロードして展開して開いて…と作業手順が増えますし、なにより皆さんの大切なデータをいったんローカルドライブにダウンロードするリスクが生じてしまいます。 ただし強制ではありませんので、圧縮形式でご提出いただいても問題ありません。

また、見本誌チェック時に印刷向け品質の高詳細データは必要ありません。 提出データが100MBを超える場合、できるだけWebプレビュー可能な品質程度まで落としてからご提出ください。

見本誌でチェックされるポイント

提出いただいた見本誌のチェックポイントは次のとおりです。

奥付が正しく記載されている?

著者として権利と責任の所在を明確にするため、必ず奥付を記載してください。 技書博では奥付の記載について、読者から著者に連絡ができることを念頭においた判断をしています。 このため、奥付がない本は技書博で頒布できませんのでご注意ください。

奥付には次の項目を明記してください。

No 項目 必須 説明
1 書名 必須 本の正式題名を記載します
2 発行サークル名 必須 サークル名を記載します
3 発行者名 必須 著者名(ペンネーム可)を記載します
4 発行者連絡先 必須 少なくとも数年程度は連絡可能な
宛先を記入します
5 初回発行日 必須 初版が公開される日を記載します
6 印刷会社名 印刷時必須 電子版のみの場合は省略可能です

発行者連絡先について

技書博の見本誌チェックでもっとも指摘が多い事項です。 今後数年間は使い続けるであろうアカウントであること(いわゆる捨てアカウントでないこと)を前提に、必ずなんらかの連絡先を記載ください。

  • 記載していただきたい連絡先情報(いずれかひとつ)
    • メールアドレス(推奨)
    • ウェブサイト(そこにメールフォームなどの連絡ツールや情報が存在していること)
    • XなどのSNSアカウント
    • XなどのSNSアカウントをまとめたプロフィールページ(または類似サービス)
  • 記載していただきたい場所(いずれか1カ所)
    • 奥付(推奨)
    • 著者紹介ページ
    • まえがき、または、あとがき

また、書籍内のどこにも連絡先の記載がない場合、頒布をお断りさせていただきます。

印刷所の記載について

会場において、印刷された本を頒布される場合は必ず印刷所名を記載ください。 印刷所の情報は、著者情報と同じようにあなたにとって重要な署名です。 また、印刷所の記載がない場合、頒布をお断りさせていただきます。

  • 電子版のみ頒布する場合、印刷所の記載は不要です
  • "記載してある"ことの確認が目的ですので、改訂などで印刷所が変わる場合は最新版1点のみを提出ください

印刷したあとに奥付不備に気づいた場合は

奥付記載の漏れを印刷後に気づいた場合、以下いずれかの対応をお願いします。

  • テプラや宛名シールなどに印刷し、奥付面などに貼り付ける(推奨)
  • 奥付訂正紙を挟み込む
  • 手書きで必要項目を記載する

奥付面への貼り付けが難しい場合は、裏表紙(表4)に記載・貼り付けでも構いません。大事なのは、情報をきちんと載せておくことです。

奥付はどんなときに使われるか

たとえば、無断で記事を転載されたことが発覚した場合を想像してみてください。 著者名と発行日が書いてあれば、提出いただいた見本誌とあわせて自身が先に発行していることが証明できますよね。 逆になんらかの申し立てがされる場合にも、奥付に連絡先が記載されていると直接該当者同士での一次的な話し合いができるようになります。 奥付は、あなたとあなたの著作物を守るために必要不可欠です。

各種法律や公序良俗に反していない?

各開催回の出展要項より「禁止事項」にあたるものを抜粋しています。 これらに反するものは原則禁止させていただきます。

  • 第三者の知的財産権(著作権・商標権・意匠権など)を侵害する物品の頒布
  • 法律や条例に違反する恐れのある行為
  • 公序良俗に反する行為
  • 成人向け、性的なニュアンスを想起させるもの、法令に触れるものの配布および掲示

法律や条例違反の例

たとえば、武器爆薬や劇毒物の製造方法などはわかりやすいですよね。 それ以外にも、刑法をはじめとした各種法律に反するものや、犯罪を教唆するような捉え方ができるものはお断りします。 技書博を健全なイベントに保つため、グレーゾーンな状況の内容についても厳しく判断しますのでご了承ください。

以下は頒布を許可しない本の例を掲載します。

  • 爆弾で効率的にビルを破壊する技術
  • 脱税でうまく財テクする技術
  • 脱法ドラッグを生成する技術
  • 性的同意のない行為を推奨するような表現
  • 各種法律をすり抜けることを推奨するような表現

なぜ性的なものがだめか

実際に技書博が懸念しているケースとしては、皆さんが書かれた本をお子さまが手に取る可能性があります。技書博では行動規範でも性的コンテンツを禁止していますし、全年齢に向けてどなたにでも頒布できるもののみ頒布を許可します。

勧誘行為にあたらない?

技書博では、以下2つの勧誘行為を禁止します。

協賛企業さま以外による積極的な勧誘行為の禁止

技書博は協賛企業さまのご協力によって成り立っていますので、それ以外の企業が積極的に勧誘行為をすると「なんだ協賛しなくても勧誘できるじゃん」となってしまいますよね。 そうすると協賛企業さまのご迷惑になりますし、次回からの技書博が成り立たなくなってしまいます。 このため積極的な営業行為(たとえば企業の人事採用チラシを全員に配る)を禁止させていただきます。 たとえば企業内サークルが通常ブースとして出展し、出している合同誌のなかに採用ページが1-2ページ挟まっている程度であれば問題ありません。 その場合にも来訪された方全員に会社説明をするなどのあきらかな勧誘行為はおやめください。

ただし「技術コミュニティ」についてはその限りではありません。 技書博を技術コミュ二ティ宣伝の場として積極的に使っていただきたいと思っていますので、ぜひご活用ください。 コミュニティフレンドシップをいつでも歓迎します。

技術と関係ない勧誘行為の禁止

技術と関係ない勧誘行為とは、たとえば投資や資産形成などをほのめかすもの、特定の政治・宗教・信条思想などへの傾倒を促すものなどがあたります。 技書博は技術を交流する場であり、悪質・良質を問わずそれ以外の勧誘から皆さんを守りたいと考えています。

ただし、たとえば次のような技術目的での勧誘行為は禁止していません。

  • 勉強会に登壇しませんか?
  • この本を連載・出版しませんか?
  • Podcastなどの番組に出演しませんか?
  • カンファレンスに遊びにきてください

表現の規制はある?

技書博運営事務局では、模倣や二次創作について表現を判断しません。 見本誌提出の際に判断を求めるコメントをいただく場合にも、一律で判断はできませんのでご注意ください。 このため、必ず自己責任のもとで頒布いただくようにお願いします。

たとえば、以下のようなケースについての可否を私たちは判断しません。

  • 表紙に有名ゲームのキャラクターがあしらわれている
  • 表紙が有名技術書シリーズに酷似している

その他に気をつけることはある?

以下のような行為に抵触しないか注意してください。いずれも行動規範で禁止されています。

  • ハラスメント
  • なりすまし
  • 個人情報の不正利用
  • 反社会的勢力との関係

このなかでもとくに気をつけていただきたいのは「ハラスメント」です。 他者を貶めたり人格を損なうような発言すべてを指しますので、否定的なメッセージには充分にご注意ください。

見本誌チェック返答の種類

期限内に登録いただいた見本誌は、開催前日までに個別のご案内がなければ頒布OKとみなしてください。 期限を過ぎて登録いただいた見本誌は、できるだけ早めに確認を進めますが、当日会場にてご案内となる場合があります。 現在はスタッフの手が足りていないためOKのものについて個別に回答していません。

不許可

明確な問題が発見された場合にはこのステータスをご案内します。 原則として以降すべて技書博において該当の本を頒布いただけません。 不許可になった本の頒布を発見した場合、強制退出および以降の参加をお断りすることがあります。

ただし、問題を解決した場合は、再申請することができます。異なるバージョンを用意する、電子版のデータを変更するなど、解決方法はいくつか考えられますが、切り取る、塗りつぶすなど、物理的な解決を行った場合は、会場にて、頒布予定のすべての本のチェックが必要です。

※すべてのチェックは、不許可となった該当の本のみです。許可された他の頒布物は、チェックなしで頒布できます。つまり「見本誌だけを解決したように見せかけて、すり抜けようとしてないか」をチェックするということです。
※物理的な解決の多くは、不可逆的な方法です。このため一旦実行してしまうと元に戻せないため、先にどのような手順で解決するかを運営事務局にご相談ください。

勧告(アドバイザリー)

技書博運営スタッフでは判断しきれない場合などにこのステータスをご案内します。 原則として自己責任のもとで該当の本を頒布いただけます。

たとえば、以下のような本が対象になります。

  • 技書博スタッフの知識が薄く、遵法性などを判断できない
  • 軽微な性的表現で全年齢向けに頒布可能なもの

条件付き許可

奥付記載不備など、あとから修正が可能な不備がある場合にこのステータスをご案内します。 原則として当該部分を修正したうえで該当の本を頒布いただけます。

また、そのままの状態 で頒布を続けた場合、強制退出および以降の参加をお断りすることがあります。

おわりに

毎回大量に登録いただく見本誌、スタッフがすべて読んでます! サークル配置担当からは「この内容だったらこのシマだった〜!」という悲鳴がでたり、チェック担当からは「連絡先の記載ないのが多すぎる」という悲鳴がでたり、いろんなスタッフから「見本誌多すぎないかやばいぞこれ間に合わない」という悲鳴がでたりと、直近2〜3日で数百冊みるため毎回バタバタしてます。 この見本誌チェック、直前だけどスタッフがもっとも楽しいひとときなんですよね。 イベントのためにこんなにたくさん書いていただけたんだって思うと、イベントの準備がんばって良かったなってなるじゃないですか。 もうちょっと豪華なお弁当にしたいな、とか思うんですよ。 次回もスポンサー様へのご提案がんばります。

繰り返しますが、皆さん「奥付」の連絡先記載にはご注意を! 万が一のために小さめのラベルシールをひとつ買っておくと便利ですよ。